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三浦綾子がデビューしたのは1964年、東京オリンピックの年である。高度成長期の波に乗って新しいファッション雑誌が次々に創刊されていく中、綾子の小説・エッセイのほとんどはファッション誌や週刊誌をはじめとする様々なジャンルの雑誌に連載された後、単行本として出版されていた。その中にはJOTOMOやセブンティーンといったティーンズ向けの雑誌もあったことをご存知だろうか。
企画展で紹介する作品にまつわる資料を見返していた時、「そういえば『石の森』は何の雑誌に連載されていたんだっけ……」と探していたらかわいらしい表紙が出てきて思わず笑顔になった。『石の森』は月刊セブンティーンに1975年2月~1976年2月までの1年間連載されていて、表紙の題字は夫の光世が書いたものだった。先日、ボランティアさんと話をしていたら、正にその頃高校生でセブンティーンを愛読していたという方がいらっしゃった。連載当時をご存知の方は懐かしく感じられるかもしれない。
ちなみにJOTOMOに連載されていた『茨の陰に』もまた今回の企画展で紹介している短編小説である。資料として保存しているのはコピーのみだが、何と表紙はピンク・レディーだった。収蔵庫にある初出誌を眺めているだけで昭和の世相がわかる。
セブンティーンの隣に展示しているのは長編小説『残像』の創作ノートである。綾子は小説の筋を考えるとき、人物像をかなり細かく記している。これは『残像』のヒロイン真木弘子のイメージだが、綾子は『ひつじが丘』の奈緒実など、イメージに合う女優がいると雑誌を切り抜いて創作ノートに貼っていることが度々あった。創作ノートには作家綾子のこんなかわいらしさも潜んでいる。

『石の森』『残像』が気になった方はコチラ
★『石の森』
どんな親しい関係の中にも常にある崩壊の危機。互いに秘密をもちあう家庭を背景に男女を超えた愛はあるのかを追い求める物語。集英社文庫で現在も販売されている。
★『残像』
1972年1月~12月。主人公弘子は、女性を妊娠させて自殺に追いやった長兄と体面を気にする父の間で心を痛める。愛することの重さを問いかけていく長編小説。