北大の名物先生、英訳された『塩狩峠』を語る

11月15日(木)午後2時より

三浦綾子生誕90周年記念特別文学講座の第7講座を

北海道大学名誉教授・ロシア語ロシア文学者の

工藤正廣先生を講師におむかえし

標題【英訳本から見た三浦文学・『塩狩峠』英訳を少し読む】を

本文学館2階図書コーナーにて開催いたしました。

『塩狩峠』の冒頭

<一粒の麦、地に落ちて死なずば、・・・>と最後の「峠」の章が

どのように訳されているかを日本語と英訳を対比しながら

丹念に解説してくださいました。

そのなかから工藤先生は

「いたどりのまだやわらかい葉」が

「The leaves of giant knotweed,still young and tender」と

英訳されていることについて

「いたどり」の柔らかい

その状態を知って訳者は書いているのかどうか。

さらに永野信夫の婚約者のふじ子の

兄の吉川が妹を思って

「かわいそうな奴」と言うくだりでは

「poor girl」と訳しているがpoorではなく

もう少しきめ細かく訳してもらいたい」と仰られました。

結論として、先生は英訳と日本語を比べると

「綾子さんがいかに細やかに小説を書いているか

こういうふうに考えていたのかが見えてくる」と話され

「翻訳する際の難しさや

外国語にありがちな語彙の少なさ

文化の違いがあるにしても

翻訳者はあくまでも作者の

思想メッセージに添いながら訳すべき」と

力説されました。

英訳本から見た三浦文学という

切り口でお話いただいたのは

今回が初めてで

参加された35人の方々は

興味深い先生のお話しに

熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

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