【案内人ブログ】No.21(2018年12月)

「三浦綾子記念文学館と外国樹種見本林」が北海道遺産となる

北海道に関係する自然・文化・産業などの中から、次世代へ継承したいものとして、北海道遺産構想推進協議会が選定する「北海道遺産」というシステムがある。
平成13年10月、第1回選定分として稚内港北防波堤ドーム(稚内市)など25件が選定された。平成16年10月、第2回選定分として旭橋(旭川市)など27件が選定された。そして平成30年11月、北海道命名150年記念を念頭においた第3回選定分として、「三浦綾子記念文学館と外国樹種見本林」など15件が新たに選定された。これをもって、北海道遺産の認定は全部で67件となった。

この朗報に私たち関係者は心から喜び、三浦文学ワールドを後世に引き継ぐ決意を新たにしているところである。今年、三浦綾子記念文学館は開館20周年を迎えた。9月29日の記念式典等は、9月6日胆振東部地震の影響でことごとく取り止めとなったが、今回の快挙はそれらを補って余りあるものであった。
去る9月29日オープンした分館の目玉は、何といっても三浦家の書斎の移設である。

では分館を巡ってみよう。最初に現れるのが受付と多目的室である。多目的室の口述筆記体験コーナーはユニークであり、小学生たちの人気を集めている。テーブルや椅子、ベンチは「旭川家具」で統一されている。ちなみに、この旭川家具も今般北海道遺産に選定された仲間であり、その逸品が室内に配置されている。

廊下を経た小説『氷点』『続氷点』の展示室は、作品のあらすじが詳しく紹介されており、三浦文学ファンにとっては実に魅力的な世界が出現した。『氷点』の主題は「原罪」、『続氷点』の主題は「ゆるし」である。罪には「ゆるし」が必要不可欠である。「ゆるし」があって初めて私たちはこの世の中を生きていくことができるのだ。この展示室の奥では、モニターで田中綾館長と森下特別研究員の映像(15分)が流れている。『氷点』『続氷点』のミニ文学講座で自由にご覧頂けるので、ぜひ視聴して見聞を広めて頂きたいものである。
書斎中央には大きな長机がある。綾子さんと光世さんが向かい合って座り、綾子さんが語り光世さんが書きとる様子が目に見えるようである。時折、綾子さんは立ち上がって長机の周りを歩き回る。そんな姿すら容易に思い起こさせる貴重な空間だ。左窓の上には額装された賀川豊彦先生の書「博愛衆及」(人間相互の助け合いを「博愛」として、それがすべての民衆に広がること)が掲げられている。隅っこの三角柱の形をした棚には、最上段に綾子さん光世さんのそれぞれの両親の写真が置かれ、中段にはジュエリーボックスや白布に包まれた小箱(前川さんが手術で取り除いた肋骨の一部が入っていて、前川さんから綾子さんに渡したもの)が置かれている。

『氷点』『続氷点』の世界を追体験できる外国樹種見本林の入口には『氷点』文学碑が建っている。
「風は全くない。東の空に入道雲が高く陽に輝やいて、作りつけたよう動かない。(以下略)」
三浦綾子記念文学館と外国樹種見本林は、これからなが~い冬を迎える。

「冬来たりなば春遠からじ」。三浦文学案内人一同、皆様のご来館をお待ちいたしております。

by 三浦文学案内人 森敏雄

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