2026年の9月は20数年ぶりの5連休、シルバーウィーク。その中に敬老の日が含まれている。私もいつの間にか祝う側から祝われる側になった。
三浦綾子は、70歳の時『パーキンソン病』と診断された。そのとき、「主よ、お従いします」と祈り、70年の間に自分の罹った主なる病気を上げ、
「中耳炎、常習扁桃腺炎、急性肺炎、盲腸炎、肺結核、脊椎カリエス、血小板減少症、帯状疱疹、直腸癌等々、実に多い。それらの病気で失われたものは何か。只健康だけで、希望も信仰も失うことはなかった。パーキンソン病でどうなっていくかわからなくても、感謝して生きていこう。」と記している。
その後はこの言葉のとおり自分でできることに感謝しつつ『銃口』の執筆を続け、書き上げた。その間、多くの来訪者に会い、読者の悩みに答え、励まし、友人・知人と親交を深め、さらに取材旅行に出かけるなど多忙な日々を過ごした。
どのような時でも最後には祈り「感謝」を忘れなかった。
日記には日常生活で、トイレに関すること、入浴、体重に関すること、歩行・散歩に関すること、食事に関すること等が具体的に書かれている。
例えば、トイレに関することは次のようである。
・昨夜二回、自分で布団を押し上げ、床から脱け出し、トイレに立ち、かつ自力で布団の中に戻る。毎夜このようになれたら……。
・昨夜は珍しくトイレに二回しか起きず。
・昨夜三回トイレに起きる。いつもはたいてい、その度に三浦に布団を剥いでもらうのだが、昨夜は二回自力で布団から這い出し、トイレに。
・「バンザイ!」と叫びだしたいほどうれしい。昨夜はトイレに立つこと只の一回。ありがたし、ありがたし。夜、トイレに起きないというだけでも、人間喜びを得ることなのだ。
歩行、散歩については次のようである。
・戸外を三浦と二百メートル程歩く。遠い所も近い所も、必ず一緒に歩いてくれる三浦に感謝。
・戸外を三浦と二キロは散歩。
・きょうは戸外を七百メートル。まだ一面雪の中。
・二月もあと幾日かを残すのみ。陽射しは早くも春めいている。きょうは戸外を八百メートル程三浦と散歩。一万歩には遠いが、とにかくも歩き得て感謝。
入浴と体重測定について。
入浴時には、光世氏と自分の体重を測り、自分は30kg台のキープを目指し、達成したときは感謝する。
・二日続けて寝汗なし。入浴、41キロに! 一キロ増加、バンザイ。
・夜、久しぶりの入浴。三浦がわたしの着替えから、湯加減から、体を洗うことから、徹底的に世話してくれる。足のふらつく私のために極度の緊張をもって。体重三浦49.5キロ、私39キロ。
・私は風が嫌い。強い風が嫌い。今日は私の誕生日。せめて風は静まって欲しいと思う。72歳の誕生日。体重、今は38.5キロ。雑貨店を経営していた30余年前は体重57キロもあった。今は20キロ近くも減って、それでも生きていける。不思議なものだ。
・夜、約二か月ぶりに入浴。体重38.5キロ。徐々に痩せてきているのは何故か。
食事については、
・(好物の北寄貝を)食べながら、なぜかギプスベッドに臥たっきりのころの食事を思い出す。胸に載せたお膳を手鏡に映しながら、来る日も来る日も食事をしていたものだ。自分の目でテーブルの上の食べ物を見、自分の足で歩けるということだけで、どんなにありがたいことか、つくづくと思う。
子供クリスマスについて
氷点を執筆中に締め切りが迫り、今年は子供クリスマスを中止したいといい、光世氏に「それなら執筆をやめろ」と言われた。子供クリスマスについては次のように述べられている。
わが家の子供クリスマス、第34回なり。結婚の翌年から今日まで、一度も休まずに子供クリスマスを続けさせて頂いた。何と感謝なことだろう。今更のように、この子供クリスマスが、私たちに対する神からのプレゼントであることに気がつく。
この『難病日記』には“感謝”があふれている。
私も、日々感謝の気持ちを忘れずに一日一日を過ごしたいと思うが……。
ナナカマドがきれいな晴れた秋の日に


