【案内人ブログ】No.37

希望は失望に終わらない

こんにちは。三浦文学案内人の森です。

新型コロナウイルスのパンデミックな動きで、世間の日常が一変してしまったかのように感ずる昨今であります。感染予防のために3密回避及びマスク着用、手洗い励行、不要不急の外出自粛等が当たり前となり、三浦綾子記念文学館も4月中旬から休館を余儀なくされました。文学館は6月6日から再開しましたが、案内人業務(ボランティア)は休業となっています。
この間、私たちは願ってもない充電期間と受け止め、未読の三浦綾子文学本を読了したり、三浦綾子文学研究や館内案内(動画)づくりに協力したりしているところです。

私個人としては、先日、森下辰衛文学館特別研究員製作CD「『道ありき』の愛と希望」を聴き取りました。この中に、熊本県の野尻千穂子さんが紹介されています。彼女は小6の時、脊髄の病気で医師から生涯寝たきり&車椅子生活を告げられました。母親は嘆き悲しみ、母子ともに「死」を選ぼうとしますが、彼女は「これがわたしに与えられた人生なら、わたしは死なない!」と叫びました。12歳の少女の心強い言葉でした。そして彼女は年頃となり、脳性マヒの男性と巡り合い、愛を育み結婚することができました。そして子供を授かるわけですが、周囲の誰もが出産に反対したと言います。でも彼女は「ひとつの新しい命を生み出すことができれば、自分は死んでもいい」と考えました。夫君は彼女を支えて、「万一障害者が生まれても、仲間が一人増えたと思えばいい」と泰然自若の体。命の尊厳を思う若い二人でした。
お二人の一粒種、沙織ちゃんは健やかに成長しました。愛し合った両親、信じ合った両親、お二人の喜びはどんなにか大きかったことでしょう。物心ついた沙織ちゃん曰く、「私はどこの家に生まれるよりも、この父母に生まれてよかった」と。

ここに至る経緯は、綾子さんのエッセイ集『心のある家』の「希望は失望に終わらない」に詳しく描かれています。
「希望は失望に終わらない」
この言葉は、聖書に著されている聖句です。光世さんはこの言葉が好きで、本の裏扉によくこの言葉をサインしておりました。
野尻千穂子さんは、館報「みほんりん」第39号に一文を寄せています。もう一度、しっかりと読み解いてみたいものです。千穂子さん、素敵なメッセージをありがとうございました。
4月以降の三浦綾子記念文学館のイベントのうち、文学講座や文学講演会、朗読会などはオンライン配信で公開されており、現在もご覧頂くことができます。今後の朗読会などのイベントも引き続きオンラインで配信いたしますので、HPをしっかりと見届けてください。
私たち案内人の館内案内はお休み中ですが、先日収録した館内案内の動画を館内の第二展示室や文学館HPでご覧頂くことができます。
また皆様をご案内できる日を楽しみにしております。

by 三浦文学案内人 森敏雄

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