【お知らせ】雪の美術館は2020年6月30日をもって閉館いたしました。

学芸ブログ

大変残念で悲しいお知らせではありますが、 2020年6月23日(火)「北海道新聞」朝刊15面(地域の話題)等で報道のあった通り、雪や氷をテーマにした旭川市内の観光施設「雪の美術館」は先月6月30日で閉館となりましたのでお知らせいたします。
綾子は、生前優佳良織工芸館の織元・木内綾氏と互いに尊敬しあい、友情を深めました。
 『この病をも賜物として』には、雪の美術館のことを記した文章があります。
以下に2つ紹介します。

〇月〇日
 晴れ。優佳良織工芸館の織元木内綾氏、今度は雪の美術館を建築とか。本日はその上棟式なり。心配していた天気も晴れ上がり何より。雪の美術館とはどのような内容なのか、私には想像もできず。芸術的才能のある人の、優れたイマジネーションに、今更ながら敬服。
 それにしても、優佳良織工芸館、染色美術館、雪の美術館と、何億もの文化の殿堂を次次に建てられる木内綾氏の気魄に心打たれる。

三浦綾子『この病をも賜として』(角川文庫)


雪の美術館は、 日本初の「雪」をテーマにした美術館で、旭川市神居町の優佳良織工芸館の敷地内に建設され、1991年6月1日に開館しました。開館直前の5月27日11時から「雪の美術館開館披露」がなされました。(注)
続いて引用するのは、このころの綾子の文章です。
直前には、光世と結婚してから32年を迎え、感謝を新たにする文章も読めます。

〇月〇日
 木内綾氏の雪の美術館オープン。雪の姿をいかにして人々に知らせんとする心遣いと情熱がひしひしと胸に迫る。一人の女性の胸にイメージされた雪の美術館! それがかくも美しき殿堂となって、現実にここに完成された。総工費五十億とか。市や国からは一銭の援助も受けぬ心意気にも限りなき感動を覚える。優佳良織工芸館、国際染色美術館、そして雪の美術館と、三つの殿堂を建て終わって、早くも次の計画を持っておられる由、只々讃嘆するのみ。

三浦綾子『この病をも賜として』(角川文庫)より

この年、1990年より「本の窓」に連載中の「銃口」の執筆、 4月に『三浦綾子文学アルバム』(主婦の友社)が、7月からは「三浦綾子全集」(全20巻)の刊行が始まる等、 綾子と光世は多忙を極める日々を過ごすのでした。

注: 1991年6月1日 付「朝日新聞」朝刊(北海道)21面に、雪の美術館の広告が掲載、「6月1日開館」と明記。

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