みなさまいかがお過ごしですか。
三浦綾子の小説『泥流地帯』『続泥流地帯』の舞台となった上富良野町では、きたる5月22日(土)・23日(日)に2021『泥流地帯』の道フットパスが開催されます。
昨年11月中旬に当館職員が休日を利用して『泥流地帯』の町・上富良野にドライブに行ってきたそうです。別の記事でも、2021年1月、2月の上富良野文学散歩の様子を紹介しますが、写真で綾子の小説『泥流地帯』『続泥流地帯』の風景もお楽しみいただければ幸いです。
日新尋常小学校跡
小説『泥流地帯』の石村拓一・耕作兄弟や福子たちが通った日進分教場は日進尋常小学校は実在していました(作中では、「日進」と表記されています)。
学校は、拓一たちの家から更に一里近くも奥にある。狭い山合の小さな学校だ。先生がたった一人の複式授業で、一年生から六年生まで同じ教室だ。
三浦綾子『泥流地帯』(山合の秋)より
三愛の丘
三浦綾子『泥流地帯』『続泥流地帯』について
泥流地帯
大正15(1926)年の十勝岳大爆発を題材にした長編小説
作品冒頭部分が「三浦綾子小説作品 はじめの一歩」 『泥流地帯』で無料でお読みになれます。
初出
北海道新聞日曜版 1976(昭和51)年1月4日~1976(昭和51)年9月12日
単行本
1977(昭和52)年3月25日、新潮社より単行本『泥流地帯』として刊行。
文庫本(新潮文庫)
1982(昭和57)年7月25日、新潮文庫『泥流地帯』として刊行。
電子書籍(小学館)
2013(平成25)年1月25日、「三浦綾子電子全集」35「泥流地帯」(小学館ebooks)として配信開始。付録に光世による創作秘話と取材時の三浦夫妻の画像、『泥流地帯』を執筆した時期を含む10年ほどの間に綾子が呼んでいた聖書の画像が収録されています。
底本:新潮文庫『泥流地帯』2011(平成23年)年11月10日、初版第58刷
続泥流地帯
まじめに一所懸命に生きているのに、なぜこんなひどい目に遭うのか。答えの出ないこの大きな問いに、三浦綾子が真正面から取り組んだ『泥流地帯』の続編。
作品冒頭部分が「三浦綾子小説作品 はじめの一歩」 『続泥流地帯』で無料でお読みになれます。
初出
北海道新聞日曜版 1978(昭和53)年2月26日~1978(昭和53)年11月12日
単行本
1979(昭和54)年4月15日 単行本『続泥流地帯』(新潮社)として刊行。
文庫本(新潮文庫)
1982(昭和)年8月25日、新潮文庫版『続泥流地帯』が刊行。
電子書籍(小学館)
2013(平成25)年1月25日、「三浦綾子電子全集」36「続 泥流地帯」(小学館ebooks)として配信開始。付録に光世による創作秘話と上記写真で紹介した「日新尋常小学校跡」の画像が巻末に収録されています。
底本:新潮文庫版『続泥流地帯』、2011年2月15日初版第50刷
『泥流地帯』映画化情報について
『泥流地帯』映画化プロジェクトおよび最新の情報は北海道上富良野町公式ホームページ上富良野町 『泥流地帯』の映画化プロジェクト のサイトおよび北海道上富良野町 『泥流地帯』映画化を進める会公式アカウントTwitterで随時発信されます。当館公式サイト・SNSでも追ってお知らせします。
下記の記事もあわせてお読みいただければ幸いです。
文学碑について
十勝岳爆発災害復興六十周年記念として上富良野町草分神社境内に「泥流地帯」文学碑が建立、1984(昭和59)年5月24日に除幕式が行われました。
本日は誠に感慨深い私たちにとって忘れることのできぬ日でございます。
大正十五年五月二十四日、十勝岳のあの大爆発は百三十七名(注・美瑛町七名を含め百四十四名)の尊い命を奪いました。私はこの事実を知りました時に、なんともいえない思いに襲われました。
人一倍正直に、そして真面目に勤勉に開拓した人々が何ゆえにこの様な災難に遭わなければならなかったか……私はつくづくとそう思いました。そして小説を書くことを思い立たせていただいたわけでございます。
小説を書くに際しまして上富良野の役場の皆様、そして災害に遭われた方々の甚大なご協力によりまして『泥流地帯』が出来上がりました。
私は、その取材の最中に幾度、胸をつまられたことかわかりません。
三浦綾子「大正十五年五月二十四日を想う時」より
初出:『泥流地帯』文学碑建立期成会「三浦綾子『泥流地帯』文学碑建立記念の栞」1984年5月24日
のち単行本および文庫本『ごめんなさいといえる』(小学館)に収録