
国立国会図書館は、大学院生のころからある意味“聖地”のように訪れている場所です。資料コピーのために日帰り(はるばる北海道から!)で行っても、図書カウンター上部に刻まれた「真理がわれらを自由にする」の文字をしみじみ見つめるだけで充実感を味わえたり、元気をもらえるのです。
近年は、充実したデジタルコレクションを、在宅で活用させていただいています。
その中で最近のお気に入りは、「レファレンス協同データベース」。https://crd.ndl.go.jp/reference/ 国会図書館が「全国の図書館等と協同で構築している、調べ物のためのデータベース」で、図書館に寄せられたさまざまな質問と、その回答が記載されています。
試しに「三浦綾子」で検索してみると~「43件」の事例が画面に出てきました(2022年10月末現在)。そしてこんな質問も、2013年8月に寄せられていました。
Q・「三浦綾子著『続氷点』上巻・角川文庫p.320に引用された「ジェラール・シャンドリ/一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」のジェラール・シャンドリという人物の詳細について書かれたものはないか。」
対する回答の一部は、
A・「お尋ねの三浦綾子著『続氷点』に引用されている「ジェラール・シャンドリ」について、以下の文献やデータベースなどを調査しましたが、該当する人物は見当たりませんでした。
シャンドリの原綴については、インターネットの情報をもとに、下記1のデータベースに掲載されていたGerard Chaudryで調査しました。また、『続氷点』にみえるシャンドリの言葉のフランス語と思われる下記1に挙げた句でも調査しました。
なお、類似のレファレンスが、レファレンス協同データベース
https://crd.ndl.go.jp/reference/
にも掲載されていますので、参考までにお知らせいたします。(登録番号 1000052570)
1.citation du jour
http://www.evene.fr/citations/citation-jour.php
Gerard Chaudryで検索すると、
Ce n’est pas ce que nous avons amasse qui reste apres cette vie,
mais ce que nous avons donne.
という文章が出てきますが、それ以上の出典がわかる記述はありません。
http://www.evene.fr/tout/gerard-chaudry
[last access:2013.8.27]
(以下略)
続きもさまざまな書誌情報が書かれていますが、全国の図書館レファレンスご担当の方々は、このように細やかに調査をされ、問い合わせに回答されているのですね。
『続氷点』に引用された「一生を終えてのちに残るのは、われわれが集めたものではなくて、われわれが与えたものである」の出典については、先月刊行された『三浦綾子生誕100年記念文学アルバム ひかりと愛といのちの作家』
p91に写真が掲載されています。
フェデリコ・バルバロ編『三分の黙想』(ドン・ボスコ社、1968年)、の「与えること」の章の冒頭に引用されたもので、バルバロ神父が選んだ金言400のうちの1つということです。実は私自身、長く気になっていた言葉でしたので、こちらの情報も、レファレンス回答に加えていただけると嬉しいですね。
田中綾