【行事報告】2020年10月20日(火)午後1時30分から 三浦綾子読書会 ゆっくり読む『天北原野』を開催しました。

事務局ブログ

 みなさまお変わりございませんか。
 今朝の道内はこの秋一番の冷え込みとなりました。ニュースなどでご存じの方もいらっしゃるかと存じますが、気象台は札幌市と旭川市で初霜や初氷を観測したと発表しました。
 昨年初霜が観測されたのは9月26日、初氷の観測は10月14日(体育の日)でした。昨年に比べると初霜は25日遅く、初氷は7日遅い観測となりました。
 
 さて、件名について講師の森下辰衛(三浦綾子記念文学館特別研究員)から報告が届きましたので、ご紹介します。
 今回の参加者は8人で、間隔をあけて扇型に近い形で座り、司会の森下が要の位置に座りました。上巻の「ループ線」の章を全部輪読して、『樺太市街地図』や『樺太郷土写真帖』を使いながら、舞台になった豊真線や真岡について紹介。その後、感想や読みを語り合いました。
 

11年前、貴乃と引き裂かれたあと樺太の西海岸を寒風に刺されながら半ば気が狂ったように歩き回っていた、その場所真岡から、孝介が豊原の貴乃に電話をかけて、気持ちを伝える箇所でした。背景に描かれる鰊の群来によってふくれあがり押し寄せる銀波と、孝介の激情が重なるとき、人間を含めた生けるものたちの奥から命と分かち難く湧き出て抑えがたい愛への欲動が照らし出されて来ます。そして同じ愛への求めが淋しさへと裏返ったあき子はイワンと結ばれてしまうのでした。孝介にとっての海の意味、章の題となっているループ線の比喩的な意味を考えるところから始まって、活発に意見が交わされました。

森下辰衛

 次回11月17日(火)は、『天北原野』上巻 次章「雪解け水」の全章を読んでまいります。
 ご不明点がございましたらお問い合わせをいただければ幸いです。 

 事前申込および参加料は不要ですので、直接会場までお越し下さい。
 別途当館入場料が必要となります。お得なカフェ特典付き電子チケットや有効期限がない回数券(12枚綴り)を是非ご利用ください。


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