2024年は、三浦光世生誕100年の年にあたります。
あらためて、光世自身の足取りをたどりたいと思うとき、たいへん役立つのが国立国会図書館デジタルコレクションです。
https://dl.ndl.go.jp/
ありがたいことに、全国どこにいても、利用者登録(本登録)をしてログインすれば、自分のパソコンやスマホで資料を閲覧することができます。とくに昭和期の雑誌資料が豊富で、新たな発見にもつながります。
試みに、「三浦光世」の名前で検索すると、歌誌「アララギ」はじめ、栃木県の将棋研究会で発行されていた「将棋評論」という雑誌資料を読むことができました。
中頓別営林区署に勤めた16歳のころに将棋を教わった光世が、長く将棋を趣味としてきたことは知られています。20代の光世は、その雑誌の詰将棋欄に応募して、解答を褒められていたこともうかがえました。「読者の声」欄に投稿したり、さらに、1949年6月号には随筆「雅号」が掲載されていました。それによると、光世は1947年頃から「遅歩」というペンネームを使い、2年後には「鈍歩(どんぽ)」と号して悦に入っていたところ、兄から「どうも汚い感じがする」と言われてしまったとか。綾子に出会う前の光世の、ユーモアあふれる筆致も味わえて印象に残ります。
そして、さらにお試しいただきたものは、「三浦こうせ」での検索です。
かつて、光世は自分の名前が女性と間違われることが多いので、筆名を考えていたのでした。その筆名で「アララギ」に掲載されたものがいくつか出てきます。
イエスの足に泣きながら口づけせし女の愛の種類を聖書は言はぬ
「アララギ」昭和三十一年五月号 五月集 其二 土屋文明選
旭川 三浦こうせ
雪蟲の舞ふ松林出で来れば胡桃林の急に明るし
「アララギ」昭和三十二年一月号 一月集 其三
旭川 三浦こうせ
ぜひ、いろいろと調べて“発見”を楽しんでみてください。