晴れ男と晴れ女の天北原野の旅 6/28

6月28日

旭川の朝はどんよりとした曇天

肌寒く旅の初めとしては少し不安でした

しかしバスが走り始めてから

どんどん天気が良くなり

窓から差し込む光は暑いほど

森下辰衛先生の『天北原野』のお話を聞きながら

旅の気分は徐々に高まっていきます

美深町で

お弁当を積み込み

最初の訪問地

音威子府町にあるアイヌ人の彫刻家・故砂沢ビッキさんの

アトリエ3モアに立ち寄りました

ここは廃校を利用したビッキさんのアトリエを

美術館として活用している大変ユニークな施設です

館長さん自ら説明して下さり

ビッキさんの生前の様子や

彫刻制作に命がほとばしるような情熱で取り組んだ

創作活動についてお話を聴くことができました

札幌ススキノにあった「イナイナイバー」はビッキさんの彫刻で

埋め尽くされた店として有名でした

大酒豪だったビッキさんを偲んで

館内にはその「イナイナイバー」が再現されています

ここで飲むコーヒーはきっと格別でしょうね

巨大な丸太をそのままいかしたダイナミックな彫刻が有名なビッキさんですが

小さな作品に込められた彼の温かい愛情を感じます

これはチェーンソーで丸太と格闘した制作現場のプレハブ倉庫です

時間が短くて

もう一度ゆっくり来たいという方が多かったのも印象的でした

バスの中で

美深町の久の屋さん特製の「やまべ弁当」を食べました

シンプルながら香ばしいヤマベの揚げ物や

新鮮なフキなどの山菜は他では食べられないと大好評!

ヤマベはちょっと固いかな?と思いましたが

皆さん美味しかったと言って下さって

担当者としてはうれしかったですね

サロベツ原野が近づくにつれて

牧草を刈り取った広大な牧草地にたくさんのロールが見えます

寒冷な地は農業には不向きなため酪農が盛んな事が良くわかります

次第に利尻富士がその威容を現し

エゾカンゾウの黄色い花が爽やかな風に揺れています

このエゾカンゾウが咲き乱れる季節と言う事で

6月末を選択した事は大正解でした

真新しい立派な湿原センターで

NGOの方から説明を受け

サロベツ湿原を紹介するビデオを見ました

館内には

『天北原野』展のポスターも貼ってありました

いよいよ湿原を散策します

時間の都合でゆっくりと見る事ができなかったのは残念ですが

雄大な利尻富士や満開のエゾカンゾウを見る事ができて

皆さん満足して下さった様子でした

近くの豊富温泉で湯治しながら

ゆっくり来てみたいものです

利尻島、礼文島の姿を左手に見ながら日本海を北上し稚内市を目指します

このルートはいかにも北海道らしくて素敵なところで絶対お薦めです

まもなく稚内市に到着

かなりの急こう配をバスは喘ぎながら登り

氷雪の門で

稚内学を学んでいる方々のまとめ役である大橋さんから説明をいただきました

悲惨な戦争終結時の混乱の様子を聞き

あらためて平和の尊さを願うと共に

綾子さんの伝えたい気持ちを深く実感する事ができました

続いてもう少し山の上にある稚内市開基百年記念塔に向かいます

ここでは稚内市教育委員会の斉藤学芸員にご案内いただきました

1階と2階が博物館になっており間宮林蔵の像の前で説明を聞いたのですが

謎に包まれた未開の地・蝦夷地が彼の測量により

大陸から独立した地である事が判明した過程や

歩幅を基に地図を作製した苦労

猛烈な寒さの中で寝るための工夫など

先人たちの偉業と知恵にあらためて畏怖の念を抱きました

また樺太がいかに大きい島であり

森林資源を生かした製紙工場がたくさん操業していて

温泉にも恵まれた豊かな土地であった事などもわかりました

実に興味深い物が多く

とても魅力的な施設です

稚内を訪れた際には

氷雪の門と共にぜひ訪れる事をお薦めします

もちろん最上階から望む360度のパノラマは絶景で

樺太が見える事もあるそうです

この日は残念ながら樺太を望む事はできませんでしたが

秋には見える日が多いのだとか・・・

上の写真は遠くに望む利尻島です

利尻島の向こうには礼文島も見えました

どちらもかなり大きな島なんですね

山を下り稚内港にある

巨大な防波堤

防波堤ドームに向かいます

ふたたび大橋さんに解説をいただいたのですが

当時樺太の大泊と稚内を結ぶ

「稚泊航路(ちほくこうろ)」の船が発着する

場所であり活況を呈していた様子がよくわかりました

『天北原野』に登場する場面などに思いを馳せ

皆さん感慨にふけっていました

この後

今晩の宿

ホテル奥田屋にチェックイン

休む間もなく朗読会が行われる稚内市図書館に徒歩で向かいました

とにかく6時までに着かなくてはならず

歩いて2~3分の距離ですが

皆さん疲れも見せず頑張って歩いて下さいました

会場の稚内市図書館は

とてもきれいで素敵な施設でした

今回の朗読会は

図書館が新築オープンして10周年の記念事業として

文学館との共催という形で行われました

前日に東京から稚内入りされていた

中村啓子さんとバイオリニストの渡辺康子さんと再会

会場は100名くらい座ることのできるホールで満席でした

予備として第二会場も用意され

プロジェクターで朗読会の様子が見る事ができるようになっていました

お客様が次々と駆け付けます

図書館では

『天北原野』がテレビドラマ化された際の撮影の様子や

連載された当時の週刊朝日などを展示したコーナーを作って下さいました

テレビ局も取材に来ており

北海道新聞の30日付の紙面に朗読会の様子が掲載されました

中村図書館長の司会と

表教育長のご挨拶で朗読会は始まりました

中村啓子さんの素晴らしい朗読

渡辺康子さんの素敵なバイオリン

そしていつもの森下節にグングン引き込まれ

稚内の市民の皆さんは

朗読会の持つ力と迫力に魅了された様子でした

さぁ、忙しかった第一日目も無事終了

ホテルに戻って楽しい懇親会です

(私は司会で忙しく写真が撮れなかったので

懇親会は

札幌から参加された元朝日新聞のカメラマン・石井さんに

撮影をお願いしました

様子は後日UPする予定です

お楽しみに!)

私費で出席して下さった

表教育長さんから心のこもったご挨拶をいただき

懇親会はスタートしました

和室にテーブルとイスという和洋折衷のスタイルでしたが

靴を脱いでリラックスできた事は良かったと思います

想像以上に豪華な食事が並んでいます

生ウニや毛ガニもあります

さすがにバス会社お薦めのお料理自慢の宿です

翌日立寄る猿払(さるふつ)村の道の駅の

小松水産さんから

名物のホタテ饅頭と

新鮮なホタテのお刺身がふるまわれた事も特筆すべき事でした

小松さんはご自分でホタテ漁をされており

猿払のホタテの質の良さには絶対の自信を持っています

会場には発泡スチロールの大きな箱に

山盛りの活ホタテが届けられ披露されました

参加者の中には毎年のお歳暮に小松水産さんを利用している方もいました

さすがはホタテの水揚げ日本一です!

一日の疲れを癒しながら

普段接する事のできない遠方の地から参加された方との話や

三浦文学の情報交換などで花が咲き賑やかでした

懇親会では3人の方にお話ししていただきました

今年5月から活動を始めた三浦文学案内人を代表して清水公夫さん

鎌倉市から参加された松村永子さん

仙台市から参加された遊佐真理さん

それぞれに

今回の旅の感想や三浦文学との出会い

そして三浦綾子に寄せる思いなど

三浦綾子や三浦作品をいかに愛しているか

熱く熱く語っていただき

会場はますます盛り上がりました

最後に稚内市の斉藤教育部長さんから

「次回は、稚内から就航しているフェリーを利用して樺太へぜひ行って欲しい

樺太には古い町並みが残っており皆さんにとってたいへん魅力な地であるはずです」

とお話をいただき

この旅行もいよいよ国境を越えて海外旅行へと

一段とスケールアップする可能性を帯びてきました

(担当者としてはうれしいやらちょっと複雑・・・笑)

とってもいい雰囲気だった懇親会も1時間半ほどで閉幕

大浴場の温泉に浸かり夢の世界へ・・・

ちなみにこの温泉は塩泉で少しヌルヌルとしていますが

たいへん温まる良い温泉でした

翌朝は7時45分出発!

早く寝ないと!

では、2日目の様子は後日ご報告しますね

おやすみなさい。。。。

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