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【館長ブログ「綾歌」】堀井美香さん旭川朗読会『母』 〈演読〉の魅力

「綾歌」館長ブログ

8月22日、初めての「堀井美香旭川朗読会」@旭川市公会堂を堪能しました。

三浦綾子晩年の作『母』を、元TBSアナウンサーの堀井美香さんが表情ゆたかに朗読。昨年(2024年)開催された上富良野町での『泥流地帯』朗読会は、息を呑むほどのたいへん感動的な語りであったとうかがいましたが、まさに、その感動を実感できました。

ご存じの通り、『母』は、小林多喜二の母・セキが秋田ことばで語っていく一人称小説です。秋田県生まれの堀井美香さんが、同郷のセキの生涯を一人称で語ってゆくのはぴったりで、ライフワークに選んでくださったこともうなずけます。今回は7章立てで、とくに前半のテンポの良さに引き込まれました。

当日は、開場1時間以上前からファンの方々が並んでおられ、期待感も共有できました。
恥ずかしながら十数年間テレビのない生活を送っている私は、堀井美香さんのアナウンス姿はあまり拝見していないのですが、知人の勧めで聴き始めたPodcast番組『OVER THE SUN』で、ジェーン・スーさんとの軽妙&ゆるーいお話にはなじみがありました。〈互助会のみなさま〉(=番組のファン)が多いことも納得。

ところで、堀井美香さんの朗読世界の魅力は、緩急の妙はもちろん、語り手になりきった一人芝居のような趣とも感じました。

そこで思い出したのは、「演読」という言葉です。

「演読」は、朗読であることには変わりないのですが、役になりきって読む、演劇的な朗読のことでしょうか。

高校生などの朗読コンテストでは、テキストの音声再現が基本で、評価の規定に準じて減点もされるそうです(フィギュアスケートの採点のようですね)。過剰な演出やオーバーアクションはあまり求められないようですが、「演読」は、臨場感や、聴き手の感情を直に揺さぶる効果もありそう……。「朗読」と「演読」との違いを意識する機会にもなりました。

さて、今回の朗読会は音楽と動画とのコラボでもありました。
演奏のお2人は、和光憂人さん(ヴァイオリン)と、長尾崇人さん(ピアノ)。株式会社オカモトのレジデンスアーティストとして、北海道の十勝を拠点に活動しておられます。
朗読会の最後にお2人だけで演奏された「Light of my life」は、youtubeで追体験もできます。 https://www.youtube.com/watch?v=DtnsUA5-zyw

北海道出身のサンドアートクリエイター&パフォーマーMASAさんによるサンドアート動画も流麗で、三浦綾子が見たら、おそらく童女のように目を輝かせるのではないでしょうか。 https://moriblo.net/mori-profile/

今後も、堀井美香さんの「演読」の定期的な開催を期待しています。

田中綾

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