皆様お変わりございませんか。
旭川では日に日にナナカマドの実が色づいてきました。生前、三浦綾子は随筆「ナナカマドの街を夢見て」にこのように記しました。
ナナカマドは、旭川市のシンボルツリーと言われているが、それとは関わりなく、私はこの木をこよなく愛してきた。芽吹きの頃の、あのオリーブ色というのか、いい様もなく瑞々しい色が好きだ。六月頃になって、遠慮勝ちに咲く白い小さな花も、何か誠実な人柄でも見るようで、心が安らぐ。八月にはいつの間にかつぶらなナナカマドの実が少しずつ色づき、新秋の九月ともなれば、真っ赤な実が青空の下に輝く。そして葉も実も真紅に燃える秋になる。
三浦綾子「ナナカマドの街を夢見て」(講談社文庫版『心のある家』所収)より
この随筆は『心のある家』に収録されており、電子書籍(小学館三浦綾子電子全集『心のある家』)でお読みになれます。昨年の記事と併せてお読みいただければ幸いです。