道東文学散歩~三浦綾子『石の森』を中心に~

事務局ブログ

  11月に入り、旭川では雪の予報も発表されました。皆様お変わりございませんか。10月中旬に当館職員が休日を利用して道東を旅行したそうです。以下、写真と綾子の小説『石の森』からの引用文でご紹介しますね。

屈斜路湖

 ここは『積木の箱』の遠足のシーンで登場します。

美幌峠から眺める屈斜路湖 

開陽台

 野付半島までのドライブ中、観光スポットにも立ち寄りました。 

「地球がま~るく見える」開陽台。

トドワラ

 『石の森』のヒロイン早苗は、死を予感しながら旅に出る。家族には函館に行くといいながら、札幌発網走行きの汽車に乗った。早苗は斜里で降りて一泊する。翌日、早苗は弟子屈まで汽車に乗り、そこからタクシーで根釧原野を通って野付半島へ向かう。

「トド原は、ここから右に、ずっと歩くしかありませんよ」  

三浦綾子『石の森』第十一章 木々の墓

 用意していたビニールのコートを羽織り、リュックサックを背にわたしは歩き出した。靴だけは頑丈な靴をはいてきたのだ。

三浦綾子『石の森』第十一章 木々の墓

ここにあるのは、木の形をした、木の白骨なのだ。何の命もない。命のないまま、だたじっと突っ立ち、あるいは地に倒れているのだ。倒れた木は前世紀の動物の骨のように、ぶざまにひっくり返っている。余りのいたましさに、わたしは立ちすくんだ。

『石の森』第十一章 木々の墓)

野付半島より

ついに野付半島にきた。地図で見ると、ウラメシヤーの、あの幽霊の手そっくりの、かぼそい半島、でも、幅は結構何百メートルかはある。一番せまいところで、二百メートルあるという。右に入江があり、左に海が広がる。驚くほど近くに国後島が見えた。

三浦綾子『石の森』第十一章木々の墓
野付半島から見る国後島   

ナラワラ

 野付半島の、もう一つの立ち枯れの風景。海水で浸食され風化したミズナラなどの木々が立ち枯れたまま林をつくっています。

ナラワラ 

斜里にて

 三浦綾子にとっても大切な斜里のまちには、こんなにすてきな場所があるんですね。

斜里:天に続く道 

 斜里という町に、わたしは泊まることにした。駅前の、斜里館という古めかしい宿だった。わたしは最初、網走に一泊しようと思った。だが網走は、余りに有名過ぎきれい過ぎた。(略)ひっそりとした斜里の町がわたしの心をさそったのだ。

三浦綾子『石の森』第十一章木々の墓

三浦綾子『石の森』について

 雑誌「セブンティーン」(集英社)1975(昭和53)年2月号〜1976(昭和51)年2月号に連載、同年4月25日『石の森』として集英社より刊行、その後1979(昭和54)年5月25日、文庫化され集英社文庫『石の森』(解説:佐古純一郎)として刊行されました。
 現在、以下の電子書籍で読むことができます。

『三浦綾子電子全集 30 石の森』(小学館)
2013年1月11日配信開始。
https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D015700000d0000000

三浦綾子小説碑(『石の森』より)について

1992(平成4)年9月26日、三浦綾子小説碑(『石の森』より)が、網走管内生田原町オホーツク文学碑公園に建立されました。今回、写真はございませんが、あわせてご紹介します。

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