美瑛文学散歩~初雪が降った日に……

事務局ブログ

 今年も残り1か月を切りました。あと20日ほどでクリスマスですね。
 皆様お変わりございませんか。先月上旬、当館職員が休日を利用して東川・美瑛方面にドライブに行ってきたそうです。遅くなりましたが、以下写真を中心にご紹介しますね。

2020年11月4日、旭川に初雪が降りました。

 この日、旭川市内は昼前に雪が止んでいたのですが、東川町に入るとまた雪がチラチラ降り始めました。大雪遊水公園のナナカマドに雪がうっすら降り積もっています。

 かつてここに小説『青い棘』の「殉難碑」で描かれている「遊水池」がありましたが、1999年、大雪遊水公園として生まれ変わりました。中国人強制連行事件殉難慰霊碑はここから車で5分とかからないところにあります。

雪が来て、その紅葉がすっかり散りつくしても、赤い実はいよいよ赤く赤いままに冬を迎える。やがて純白の雪がその赤い実の一房一房を、まるで教会のベルに似た形にする。ナナカマドの実の真紅と、雪の白と、空の青さがふり仰ぐ私たちの目をどんなに楽しませてくれることか。

三浦綾子『心のある家』「ナナカマドの街を夢見て」より(上記写真は2020年11月4日撮影)
撮影日:2020年11月4日 

忠別湖

 忠別湖は、石狩川水系忠別川の上流部、旭川市中心部と旭岳の間に位置し、洪水調節、水力発電、上水道の供給、かんがい用水の供給、流水の正常な機能の維持を目的とし、2007年に完成した多目的ダムです。晴れていると、ここからきれいに旭岳が見えます。

撮影日:2020年11月4日 

新栄の丘(美瑛)

 新栄の丘は美瑛駅と美馬牛駅の間にあります。夕陽がきれいな丘としても有名です。雪が積もった丘の上のベンチが童話の世界のようでした。

 美瑛は三浦夫妻が愛した場所でした。複数のエッセイで、二人で美瑛の丘を見に行く様子を確認できます。前述『心のある家』の単行本が刊行された1991年は「三浦綾子全集」が刊行されたり、下記の通り複数の連載を掛け持ちで行ったりで、何かと多忙な日々でした。「信徒の友」(1989年9月〜1992年8月)に連載された日記形式のエッセイ「生かされてある日々」には、1991年9月末~10月上旬のころと思われる以下の記述があります(電子書籍『この病をも賜として』でお読みになれます)。

 〇月〇日
 今年は何でこんなに忙しいのか。去年は幾度も行ったあの美しい丘に、今年は二、三度行ったのみ。主婦の友社から出版する全集、NHKでまとめつつある私の生活の録画撮影などのほか、遠くからの訪問客、小説の連載一本、随筆三本、それに書きおろしの小説が一本、このぐらいでもう私の限界なのか。いや、それに毎日の郵便物がある。多い日は何十通もあって、確かにオーバーワークだ。
 そろそろ山も紅葉する筈だが、層雲峡にも、天人峡にも行けそうもなし。滝ノ上町在住の三浦の義兄信一兄が入院中なのに、見舞いにも行けず。車で僅か二時間で行けるのに。

三浦綾子『この病をも賜として』第3章「老いもまた人生」 引用は角川文庫による。
撮影日:2020年11月4日 

 収穫が終わった畑もあっという間に雪景色。冬の白樺もまた味わい深いですね。

撮影日:2020年11月4日 

ケンとメリーの木

 初雪の1週間前は、美瑛はこのように晩秋の風景でした。

撮影日:2020年10月26日

三浦綾子『心のある家』について

愛と祈りについて語ったエッセイ集。
現在電子書籍で読お読みになれます。

単行本『心のある家』

1991(平成3)年12月10日、講談社より単行本『心のある家』として刊行。

文庫本『心のある家』

1994(平成6)年11月15日、講談社より、講談社文庫『心のある家』として刊行。

電子書籍『心のある家』

2013(平成25)年4月26日、小学館より「三浦綾子電子全集」68『心のある家』(小学館ebooks)として配信開始。
底本:講談社文庫『心のある家』1994(平成6)年11月15日、講談社

三浦綾子『この病をも賜として 生かされてある日々2』について

 「生かされてある日々」の続編として、「信徒の友」(1989年9月〜1992年8月)に連載された日記形式のエッセイ。現在単行本(四六判)と電子書籍で読める。

単行本『この病をも賜ものとして』

1994(平成6)年10月30日に単行本『この病をも賜ものとして』(日本基督教団出版局)として刊行。

文庫本『この病をも賜として』

綾子没後、2001年(平成13)年4月25日に角川文庫『この病をも賜として』(角川書店)が刊行、文庫化に伴いタイトル変更。

電子書籍『この病をも賜ものとして』

角川文庫版

2013年2月25日、角川e文庫 『この病をも賜として』として刊行。
底本:角川文庫版『この病をも賜として』角川書店、2001年(平成13)年4月25日刊行。
※配信元により販売開始時期、価格が異なる場合があります。

小学館三浦綾子全集版

2013年5月10日、小学館より「三浦綾子電子全集」73『この病をも賜として』(小学館ebooks)として配信開始。
底本:角川文庫版『この病をも賜として』角川書店、2001年(平成13)年4月25日刊行
※配信元により販売開始時期、価格が異なる場合があります。

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