頌春 「音読」という読書体験への期待

「綾歌」館長ブログ

新年のご挨拶を申し上げます。
一昨年に続き、昨年も世界的に揺れ動いた一年でしたが、「おうち時間」という新たな言葉が定着した年でもあったでしょうか。

「おうち時間」「読書」「増えた」などで検索したところ、「公益社団法人 全国学校図書館協議会(SLA)」の公式サイトにたどり着きました。
 https://www.j-sla.or.jp/material/research/dokusyotyousa.html
同協議会は、毎年、全国の小・中・高等学校の児童・生徒の読書状況について、毎日新聞社と共同で調査を行っているそうです。そして、2021年に行われた第66回調査の結果は、私たち文学館スタッフにはちょっと嬉しい結果でした。

2021年5月1カ月間の平均読書冊数を見ると、小学生は12.7冊、中学生は5.3冊、高校生は1.6冊。調査開始以来、小中学生では過去最高の冊数となったということです。
全国の学校で取り組まれている「朝の読書運動」の成果もあるのでしょう、小中学生の冊数の伸びはほぼ右肩上がりで、学校や家庭での読書習慣が定着していることを実感できました。

「朝の読書」のほか、中学校や高校で読書のきっかけとなっているのは、放送部などで行われている「朗読」です。実際、私の周囲でも、高校の放送コンクールで朗読するために三浦綾子の『塩狩峠』を読んだ、という声が複数ありました。

小説を声に出して読むという試みとして、当文学館HPでは、昨年末から「15秒で音読できる三浦綾子」、https://www.hyouten.com/15byo 
「2分で音読できる三浦綾子」https://www.hyouten.com/2fun のページをもうけています。音読しやすいように漢字にはすべて「ふりがな」も振っており、日本語学習者にも役立つようなコーナーになっています。
1分間で話せる言葉は、300字から350字。一般的な「黙読」に加えて、「朗読/音読」というゆっくりした読書体験も、さまざまな発見が得られるものではないでしょうか。

さて、末筆ながら、今年は三浦綾子の生誕100年を記念してさまざまなイベントを企画しています。今後、少しずつ情報もお届けしていきますので、どうぞご期待ください。
本年も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

田中 綾

タイトルとURLをコピーしました