開催にあたって
三浦綾子『氷点』50年を記念して実施された事業の1つである三浦綾子文学賞を、北海道別海町の羊飼い河﨑秋子さんが『颶風(ぐふう)の王』で受賞されてから10年を迎えます。
そこで、この節目を迎えたことを記念して、河﨑さんの作家活動の現在地を紹介し、彼女が切り拓いてきた文学的地平を考察する展示をおこないます。
なお、喜ばしいことに、河﨑秋子さんは2024年2月に第170回直木三十五賞(日本文学振興会)を『ともぐい』(2023年・新潮社)で受賞されました。おめでとうございます。
直木賞受賞に際して、三浦綾子記念文学館に寄せられたコメント
河﨑秋子
この度、直木賞という大きな賞を頂く運びとなりました。
館報「みほんりん」第52号(2024.3.1発行・P.2)
氷点五十周年を記念して設けられた三浦綾子文学賞に『颶風の王』という小説を投稿してから、早十年です。受賞して単行本となったことを機に、以来物書きとして黙々と綴り続け、お陰様で一つの峰の頂上にたどり着くことが叶いました。
作品がどう評価されるか不安な思いで投稿作品を手にポストに向かい、三浦先生に祈りながら投函した日がついこの間のようです。
これから、私と同じように北極星のように輝く三浦先生の存在を標とし、表現の道に進む方がこれからも絶えず世に出てくることと信じております。
全ては三浦先生が繋いで下さったご縁ゆえのことと、旭川の方向に向かって感謝申し上げます。そのお名前を冠した賞に背を押されて文学の世界に飛び込んだ者として恥ずかしくないよう胸を張り、三浦先生のように長い間情熱を失うことなく書き続けられるよう、今後も精進に努める所存です。
河﨑秋子さんからのコメント
企画展に寄せて 河﨑秋子
私が大学で文芸サークルにいた頃、人に薦めたい文庫をくじで交換するという行事がありました。その際、先輩から私の手に渡ったのが『塩狩峠』でした。私にとって初めての三浦作品であり、大事な一冊になりました。
それから十数年後。三浦綾子記念文学賞の募集を新聞で見つけた時、当時アマチュアとして小説を書いていた私は「これは挑まねば」と強い思いにかられました。おそらく高い水準の作品が数多く応募されることだろう。しかし、結果はどうあれ、応募しなければきっと後悔する。そんな確信がありました。
そうして綴った『颶風の王』という小説で、私は物書きとして大きな一歩を歩き出すこととなりました。
現在、読者の方や編集者の皆さまのお蔭で、世に送り出した本は二桁になります。しかし、まだまだこれから。多くの名著を記された三浦綾子先生を遠くで光る北極星として仰ぎ見て、今後も精進を重ねたいと思っています。
当企画展 展示パネルより
主な内容
【 この企画展で紹介する作品 】
- 『颶風の王』KADOKAWA 2015年
- 『肉弾』KADOKAWA 2017年
- 『土に贖う』集英社 2019年
- 『鳩護』徳間書店 2020年
- 『絞め殺しの樹』小学館 2021年
- 『鯨の岬』集英社 2022年
- 『介護者D』朝日新聞出版 2022年
- 『清浄島』双葉社 2022年
- 『ともぐい』新潮社 2023年
パネルにはそれぞれ、作品の書影、担当編集者の随想、文学館事務局による読後想を掲載しています。ほか、各出版社からのお知らせもございます。
展示資料
- 『颶風の王』三浦綾子文学賞(2014年)応募原稿(4枚)
- 三浦綾子文学賞の事務ファイル(1点)※最終選考の会場レイアウト図を開いたところ
御礼
なお、回廊展「河﨑秋子『颶風の王』からの現在地」の開催にあたりまして、KADOKAWA文芸局の皆さまからお花を頂戴いたしました。心から感謝申し上げます。
2024年度企画展開催情報
回廊展2024:2024年(令和6)6月13日(木)~2025(令和7)年3月20日(木・祝)
回廊展2024「河﨑秋子『颶風の王』からの現在地」
会期=2024年(令和6)6月13日(木)~2025(令和7)年3月20日(木・祝)
開催場所=三浦綾子記念文学館本館2階回廊
※2024年度回廊展に先立ち、河崎秋子さんの作品の特設販売コーナーを三浦綾子記念文学館内に設けております。
2024年度企画展:2024(令和6)年4月2日(火)〜2025(令和7)年3月20日(木・祝)
企画展2024「三浦綾子文学を照らした三つの光」
会期=2024(令和6)年4月2日(火)〜2025(令和7)年3月20日(木・祝)
開催場所=三浦綾子記念文学館本館2階企画展示室
三浦綾子記念文学館開館スケジュール・行事カレンダー
毎週月曜日休館(月曜日が祝日の場合も休館)
7月~8月は毎日開館(無休)。
年末年始休館:12月28日(土)~2025年1月6日(月)
※2024(令和6)年4月1日より、休館日に変更がございます。詳しくはこちらをお読みください。
※2025年1月6日(月)は、休館日のため閉館いたします。
※年初開館日:2025年1月7日(火)9時より
会場:三浦綾子記念文学館 本館2階第4展示室および回廊展示
アクセス情報は、こちらでご確認願います。
北海道旭川市神楽7条8丁目2番15号
※JR旭川駅から南へ車で約3分
最新のバス時刻表及び乗り場情報は各バス会社のホームページなどでご確認願います。
所要時間 : 約15分 バス停より徒歩5分
旭川電気軌道及び、道北バスがご利用になれます。
神楽4条8丁目 神楽農協前 で下車、徒歩5分ほどです。
すべてのバスで、神楽4条8丁目 神楽農協前 が三浦綾子記念文学館最寄りのバス停であるとアナウンスされます。
入館料:大人 700円 学生 300円 ※高校生以下は無料
詳細はご利用案内でご確認をお願いいたします。
※賛助会員 と 旭川市立大学・短期大学部の学生 も無料
※10月12日(三浦綾子のメモリアルデー) ※北海道民の皆様は無料で入館できます。免許証や保険証等ご住所を証明するものをお持ちください。
企画展関連事業
※準備ができ次第、こちらのページに追記をいたします。
お問い合わせ
この企画展、三浦綾子・三浦光世、三浦綾子記念文学館の著作使用および資料・写真の貸し出し、その他三浦綾子記念文学館に関するお問い合わせは、事務局までお願いいたします。
三浦綾子記念文学館事務局
- 住所 〒070-8007 北海道旭川市神楽7条8丁目2番15号
- 電話 0166-69-2626
- FAX 0166-69-2611
- メール (メールソフトが起動します)