三浦綾子さん『続 泥流地帯』の拓一のセリフに、こんな言葉があります。
「仕事というものは、何でもみんなつらいものさ。何せ、仕える、事(つか)えると書くのが仕事だと、よくじっちゃんが言っていた」
大正末期の十勝岳大噴火ののち、泥の中から流木を引き上げ、先の見えない復興を信じて、客土をし、暗渠を作った拓一。
そんな拓一の〈仕事〉とは到底比較にもなりませんが、「仕事というものは、何でもみんなつらいものさ」としみじみつぶやくことが、私にもあります。
私は、二十代半ばから“モノ書き”(文筆業)で暮らしてきました。子どものころから話下手で、人とコミュニケーションをとることも不得手なため、一人もくもくと原稿を書くという職を選んだのです。
ところが、勤務校や文学館では、授業や講演が多く、今やモノ書きよりも“話す”ほうが仕事のメインに! 実はいまだに苦手意識を克服できていないため、反省やあせりばかりで、「つらい、つらい」とこぼす日々です。
とはいえ、依頼があれば、どこにでもうかがいます。とくに今年は、お世話になった方々や、元ゼミ生からお声をかけていただき、苦手意識克服のチャンスなのかもしれません。
・5月16日(水)「文学を愉しむ、味わう―三浦綾子記念文学館の取り組みを例に」@置戸町中央公民館
・6月2日(土)「中城ふみ子―三浦綾子と同年生まれの歌人」@とかちプラザ(帯広市)
・6月16日(土)「今を詠う、恋を詠う~三十一文字にかける想い~」@恵庭市立図書館
・6月19日(火)「いま読み返す、三浦綾子」@かでる2・7(札幌市)
(以上、終了)
・9月27日(木)「『母』『銃口』 困難な時代の再読の意味」@旭川六条教会(シンポジウム)
・11月10日(土)「三浦綾子の文学世界」@苫小牧市文化交流センター
・12月1日(土)三浦綾子記念文学館について@北方民族博物館(網走市、調整中)
・12月5日(水)「暮らしを詠む~はじめての短歌創作~」@札幌市立中央図書館
内心、「つらい」、しんどい仕事ですが、拓一のセリフに励まされ、努力を重ねてまいりますね。
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田中 綾