新しい年の幕が開きました。いよいよ『塩狩峠』の半世紀の年。こんな素晴らしい作品を持っている三浦綾子記念文学館だからこそ、わくわくしながら、ひとりでも多くの人に魅力を伝えたい、と思っています!
さて今回は、800名の会場を借りて行う「記念講演会」のお話をします。
文学館では開館以来これまでも素晴らしい講師をお招きして講演会をさせていただきました。山田洋次さん、瀬戸内寂聴さん、星野富広さん、船村徹さんなど、三浦文学や三浦光世・綾子夫妻への深い想いを抱いている方ばかりです。
そして今回はなんと作家の佐藤優さんです。元外務省主任分析官でいまや超人気作家の佐藤さん。少年のころ『塩狩峠』と出会い感銘を受けて以来、講演や推薦の言葉などさまざまなところでその魅力を伝えていただいています。(末尾の佐藤優が選んだ「ワタシの一行」をご覧ください)当地の旭川大学山内亮史学長の紹介から、「三浦綾子記念文学館と旭川大学の主催で」と開催(本年7月30日<土> 13時予定 旭川市公会堂 チケットは4月から文学館で販売予定)が決まったものです。
そればかりではありません。この講演会、かつてない組合せで楽しんでいただくことを考えています。まだ準備段階ですから、もう少し詰める必要があるのですが、この際一足早くお年玉のつもりでお知らせします。『塩狩峠』の朗読約1時間で物語をたっぷり味わった後、講演を約1時間というダブルイベントの組み合わせが実現します。しかも朗読は、日本の「音の匠」の称号を与えられている中村啓子さん(東京 NTTの時報やドコモの留守番電話サービスの声でお馴染みのナレーター)ほか2人のメンバーが劇構成で読んでいくというもの。中村啓子さんは、すでに『氷点』『塩狩峠』『道ありき』などの三浦綾子小説を朗読しCDで販売されており、また三浦文学館でも毎年のように朗読会をしていただいています。
感動すること、まちがいありません!!
佐藤優が選んだ「ワタシの一行」
三浦綾子『塩狩峠』p240
人間ははじめから、この木にはこの花が咲くというような、きまりきったものじゃないからね。
【この一行を選んだ理由】
人間は、複雑な存在だ。人生が計画通りに実現しないことはもとより、そもそも自分が何をしたいのか、よくわからないときも多い。努力をしても報われないときがある。また、想定外の罠にかかってしまうこともある。それでも、最後には何とかなるものだ。最初、考えていたような大きくてきれいな花でなくても、いつか花が咲くという希望がこの一文から伝わってくる。むしろ、人生がきまりきったものでないことを楽しみたい。
(文責:松本道男)